ガイドツアーでお客さまに喜んでいただくコツは?

秋の旅行シーズンでお散歩に気持ち良い時期ということもあり、この秋(2024年)は、多くの方にまち歩きツアーや自転車で巡るネイチャーツアーにご参加いただいています。
最近のツアーの様子はこちらから

今日は、その様子をご紹介するとともに、ガイドツアーの魅力をアップする秘訣を考えてみたいと思います。

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ゆっくりと町を歩きながら

9月の朝、オーストラリアからお越しのご夫婦と、ゆっくり温泉街を歩きました。

途中、足湯に浸かったり、温泉まんじゅうを食べたりしながら歩いていると、民家に吊るされた小さな手作り人形が目に留まりました。
その家の前に行くと、家の中からこのお人形を作った栄子さんが登場し、人形をプレゼントしていただきました。
地域に住んでいる一般の方と思わぬ交流ができて、思わず笑顔がこぼれました。

日帰り四万温泉旅行で

このお客さまは、フランスからお越しで、交通の便が比較的良い高崎を拠点に群馬を巡っていらっしゃいました。
そんな中で、四万温泉への日帰り旅行にお越しいただき、まち歩きツアーを楽しんでいただきました。
この日は、タイミングよく「四万温泉湯前神社秋期大祭」当日で、祭りの装束を着た若者と写真を撮ったり、バーベキューを楽しむ地元の方にお酒を振る舞ってもらえたりと、あいにくの雨でしたが、田舎の祭りの日を楽しまれていらっしゃいました。

「彼は私たちに四万温泉を紹介してくれましたが、それ以外にもいろいろ教えてくれました(私たちは彼に日本についていくつか質問もしました)。彼はとても知識が豊富で親切でした。
四万温泉は温泉と息を呑むほど美しい景色で有名な山間の村です。
天候や季節を問わず、ぜひお勧めします!」
とレビューをいただきました。

自転車で巡るネイチャーツアーで

四万温泉のヘビーリピーターの方とネイチャーツアーに行きました。
何度も、四万温泉にお越しのお客さまでしたので、喜んでいただけるか心配でしたが、良いお天気と見頃の紅葉に恵まれ、楽しく過ごせたとおっしゃっていただきました。

一般のお客さまはほぼ通らない裏道や、地元の人もなかなか行かない温泉の掘削跡など、ガイドと一緒でなければわからなかった場所に行けてよかった! と言っていただくことができました。

ジブリファンのお客さまと

シンガポールからお越しのファミリーとまち歩きを楽しみました。
歩きながら、なぜ、四万温泉を選んだの? と聞くと「ジブリ映画のモデルと言われているから」とおっしゃっていただきました。
ですから、千と千尋の神隠しのモデルのひとつと言われている積善館の前ではとても喜ばれていらっしゃいましたが、このツアーの一番のハイライトはなんと、どんぐり!
山道を歩いている途中に道に落ちているどんぐりを見つけて「トトロのどんぐりだ!」と大喜びでした。
聞けばシンガポールにはこんなドングリはないおっしゃっていました。

旅仲間の仲良し6人組と

私よりも少し年上の6名のお客さまと紅葉が始まった四万温泉の町歩きを楽しみました。
6名さまでよくご一緒にご旅行されていらっしゃるとのことで、とても仲良しの皆さんでした。

四万の温泉発見の伝説を興味深そうに聞いてくださったり、旧第三小学校では「わぁ、懐かしい!」と木造の校舎や教室を愛おしそうに眺めていただいたり、あっという間の半日ツアーでした。

四万温泉、素晴らしいてす、お忙しい中ガイドをして頂きましてありがとうございました、四万温泉を愛するお気持ちが凄く伝わりました、みんな喜んでおります。
と嬉しいレビューをいただきました。

お客さまに喜んでいただけるガイドのコンテンツは?

このように実際にお客さまをガイドして、私自身が感じた「お客さまに喜んでいただくためのコンテンツ」をご紹介したいと思います。
これが正解! ということではなく私自身が私の経験を通して得たことですが、何かの参考になれば幸いです。

まず最初に言えるのは、世界一の〇〇のように、特別珍しいものや貴重なものがなくてもお客さまには十分喜んでいただけるということです。
私のように毎日暮らしている場所でガイドをしているとこの風景が日常になってしまっていますが、お客さまにとっては非日常であるということを忘れないようにしましょう。

地元の方との触れ合い

町を歩く中で地元の方々と出会い、会話をすることでお客さまにとても喜んでいただけます。

お客さまだけで町を歩いても地元の方といきなり話すのは少々ハードルが高いものです。
まして、言葉の通じない海外からのお客さまにとってはなおさらです。
そこにガイドが介在することで、お客さまと地元の方とのコミュニケーションが広まる可能性がグッと高まります。

先ほどの例で挙げましたように、祭りに出会えたフランスの方、地元のご婦人にプレゼントを頂いたオーストラリアの方は大喜びされていました。

観光ガイドに載っていないところ

訪問場所として、お客さまに喜んでいただける鉄板ネタは「観光ガイドに載ってないところ」もっと言えば普通に考えたら「観光コンテンツになり得ないところ」です。
特別なものは全然必要ありません。

温泉で熱くなったマンホール、小さなお社だけの神社、地元の人もほとんど使わない裏路地や旧道、山の中の秘密のスポット、などなどどの町にもたくさんありそうです。

日本では普通だけれど・・

海外からのお客さまをお迎えする場合は「日本では普通だけれど、お住まいの国や地域ではとても珍しいもの」も喜んでいただけるポイントです。

先ほどの事例で挙げた「どんぐり」をはじめ、オーストラリアや東南アジア方面からのお客さまには、紅葉、雪、などは強力なコンテンツです。
坂道に備え付けてある、雪によるスリップ防止の砂箱一つとっても何人ものお客さまから「これ何?」と質問を受けます。

そもそも、日本語自体も海外のお客さまにとっては謎かもしれません。
時々お連れする、古い木造の小学校の一年生の教室の壁に貼ってある「一年生で覚える文字」の多さだけでもお客さまはびっくりしています。
ですから、町なかの看板などを使って、簡単な日本語勉強なども喜んでいただけるかもしれません。

想定外の質問に答えられるか?

ネイチャーガイド、タウンガイドとして活動する以上、地元のことはしっかり知識や経験として持っているのは、当たり前です。

ですが、特に海外のお客さまからは、非常に広範囲の質問を受けます。
ですから、ガイドツアーのコンテンツに関連する知識はコツコツと広く情報入手をしておく必要があります。

でも、知らないことを聞かれたら「知りません。ごめんなさい。」で済ませず、笑いをとりましょう。
こういう場合、すごく真剣な顔をして「Top Secret !」と返すと笑いが取れます。
 ↑ 使える! 通じる! おやじギャグ英語術からのパクリです(汗

そして最も大切なのは?

実際にお客さまと町を歩き、ネイチャーツアーに行く中でお客さまにおっしゃっていただいたことで「あぁ、確かにそうなのかもしれない」と思った、まち歩きガイドやネイチャーガイドに最も大切なこと、それは、

「地域を愛する気持ち」

なのかもしれません。
実際のところ、お客さまに「四万温泉を愛するお気持ちが凄く伝わりました。」とご感想をいただくまで、自分自身にその自覚はありませんでした。
でも、確かにそうなのです。
お客さまをご案内することで、私たちの暮らしている大切な場所の魅力をもっと知っていただきたい、お客さまに四万温泉のファンになってもらいたい、四万温泉の良さをもっと知ってもらいたい、という気持ちで日々ガイドをしています。

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Author of this article

Masuo Kashiwabara
群馬県・四万温泉にて温泉旅館を経営。地域でのインバウンド客比率が3%にも満たない中、どこよりも早くインバウンド集客に経営をシフト。
その比率は20%越え、メディア等でユニークな作戦が報じられる。
近年は四万温泉地域全体のインバウンド客を増やそうとバイリンガルのネイチャーガイド/タウンガイドとして活動。日本全国にもバイリンガルガイドを増やしたいとセミナーを広げることに全力投球中。

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