インバウンド客は、やっぱり大都市に行きがち

観光庁の調査によると、2023年の外国人延宿泊者数は1億1400万人を数え、過去最高であった2019年と遜色ないレベルまで回復しています。
しかし、そのお客さまの72%は三大都市圏(東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫)に集中しています。
2019年にはこの値が63%だったことから都市圏への集中は、むしろ加速しているようです。
自然や田舎、ネイチャーガイドにニーズはある?

一方、日本政策投資銀行などの調査によれば、インバウンド客が訪日旅行で体験したいことの一位は「自然や風景の見物」で、その他にも、桜・紅葉・雪景色・温泉など、日本の自然に親しみたいという潜在的なニーズはとても大きいようです。
また、インバウンド客の地方への訪問意向を見ると、93%のお客さまが地方に行ってみたいと考えており、特に高収入者から中収入者の層がより地方への興味関心がある傾向があります。
つまり、お客さまのニーズにマッチする地方の自然コンテンツを紹介するネイチャーツアーを販売することで、私のように田舎を拠点とするバイリンガルガイドも、大きな潜在需要を獲得できる可能性が高いと考えられます。
お客さまのニーズにマッチするコンテンツを作るには

では、どうやったらお客さまのニーズにマッチするコンテンツを作れるのでしょう?
私もまだ試行錯誤の段階なので、1つの見解として捉えてください。
よそ者視点で考える

自然に囲まれた田舎には、インバウンドのお客さま(もしかしたら日本人でも)にとっては非日常で興味深い自然や暮らしがあるはずです。
でも、毎日ここで暮らす私たちには、当たり前の風景となり、コンテンツとしての魅力を見つけにくくしているかもしれません。
ですから一度、よそ者の視点で考えると良いかもしれません。
鈴木信吾の著書では、地元の人にとっては以前から「当たり前のもの」だったものがインバウンドに人気のコンテンツになった例として、長野県渋湯田中温泉の「温泉に入る猿」、山梨県富士吉田市の「富士山と五重の塔と桜」、宮崎県小林市の「フランス語に聞こえる西諸弁」などが紹介されています。
当ブログでも日本人にとっては当たり前でもインバウンド客には非日常な日本の自然の事例をいくつか挙げていますので、こちらもご覧ください。
お客さまを観察する
これはガイドツアー全般に言えることかもしれません。
じっくりと観光資源を発掘し、シミュレーションを重ねて作ったネイチャーガイドコンテンツ。
いざスタートしてみると想定外だったことに出くわすのはよくある話です。
(あっ、こんなはずではなかった…!)と慌てず、お客さまがどんなことに興味を持っているかを観察することで、お客さまのニーズにマッチするコンテンツが見つかるかもしれません。
どこで立ち止まるか。スマホでどんな写真を撮るか。どんな質問をするか。友人同士でどんな会話をしているか。終了後の感想や口コミ…。
目と耳を研ぎ澄ましお客さまの行動をよくよく観察して、次のツアーに生かしましょう。
私の主催するツアーでも、坂道の脇のスリップ止めの砂について雪のない国のお客さまに「これ何?」と2回連続で質問が来たり、杉林や道端の道祖神をカメラで撮ったりと「ここ!?」という視点に驚かされることばかりです。
サムライとの関連付け
日本には武士が支配階級だった長い歴史があるので、どの地域でも武士に関する歴史や伝聞が残っています。
そして多くのインバウンドのお客さまは、日本のサムライ文化にとても興味を持っています。
ですから、地域の自然や街並みとサムライを関連づけて説明すると興味深く聞いてくれることが多いようです。
実際、私のツアーでも「平安時代にこの地で夜を明かした侍が四万の温泉を発見した」ことや「四万温泉の最初の宿は、戦国時代に上杉家の家臣が始めた」ことなどを、ことのほか熱心に聞いていただいています。
さて、せっかく作り上げた、ネイチャーガイドツアーをどうやって日本旅行を計画しているお客さまに見つけていただくか?
これも大変大きな課題です。
これについては、別の記事にて公開する予定です!お楽しみに!
Comments