以前の記事で、外国人旅行客が日本旅行で求めるものとして、ネイチャー(自然・里山)やリアル(日常の暮らし・地元の人)も大きな需要があるというお話をしました。
インバウンドのお客さまの生活環境と日本とでは全く文化や自然環境が異なるので、何気ない自然や日常の暮らしをわかりやすく紹介するだけで、お客さまはとても喜んでくれます。
つい先日、ネイチャーガイドでご案内した時に、道に落ちていたどんぐりを見つけたお客さまが「トトロのどんぐりだ!」と大歓声を上げてくれたり、雪のない国から来てくれたお客さまは坂道にある積雪時のスリップ防止の砂を興味深そうに見つめてくれたりしています。
このように実際に体験してくださったお客さまには、日本のネイチャーやリアルを体験するウォーキングツアーはとても満足度が高いコンテンツです。
一方で、ネイチャーガイド、まち歩きガイドが事業として成り立っているところは、大都市や世界的に知名度の高い観光地以外はあまりなく、苦戦しているかもしれません。
実際、私の主催するツアーも開始一年が経ったところですが、単独の事業として成立させるためにはまだまだ工夫しないといけません。
私は、私の本業である旅館業で、3%以下しかいなかったインバウンドのお客さまを20%以上と劇的に増やすことに成功しました。
いまその手法をバイリンガルガイドの集客に応用できないかチャレンジしているところです。
そこで、今日は同じ悩みをお持ちの方に何かの参考になればとの想いで、今どんなチャレンジをしているかを共有させていただきます、
いまのチャレンジの基本方針は、『多くの商品は、値段が高い・安いの前に「知られていないから売れていない」』という原則に添い、知っていただけるためのチャレンジ、を中心に据えています。
1. 基本の「き」。自社サイトに予約機能を持つ、そして販売サイトに販売
お客さま、特に地方に旅をするインバウンドのお客さまはかなり綿密に事前に計画を立てていらっしゃいます。
ですから、あなたの観光地に行ってから「ネイチャーツアー」の看板を見つけて当日や翌日にツアーに参加するということはあまりないかもしれません。
となると、お客さまがホテルや交通機関を予約する段階でツアーを、オンラインで予約してもらえるようにすることがとても大切になってきます。
オンラインの予約機能は自分の公式サイトでの予約と、販売サイト(OTA = Online Travel Agency)に大別されます。
ツアーを販売しているOTAは、Viator、GetYourGuide、Klook、KKDAYなど非常にたくさんあります。
それぞれに得意な販売先、手数料体系などが異なりますのでご自身のツアーにあったOTAを選ぶと良いでしょう。
多くのOTAが、掲載は無料、売れた毎に手数料が発生するという仕組みで、少なくとも10%+クレジットカード決済手数料程度の費用がかかります。
OTAは集客力が高い代わりに、それなりの手数料も発生してしまいます。
そこで重要になるのが、自社公式サイトでの販売です。
非常にたくさんのガイドツアーの自社公式サイトがある中で、そのコンテンツや魅力が素晴らしいのに、予約が電話対応だったり、emailのみだったりするところも散見され、もったいないなと思っています。
ぜひ、自社公式サイトにも予約エンジンを設置しましょう!
とは言っても、自分で最初から開発する必要はありません。
ツアーやアクティビティ向けの予約システムがあって、それを貼り付けて使うことで簡単に自社公式サイトに予約機能を組み入れることができます。
代表的なものとして、JTB BOKUNやKKDAYのrezioなどがあります。
その費用はミニマム仕様でしたら月々5000円以下 + 予約毎に発生するクレジットカード決済手数料と、OTAに比べるとかなり割安です。
OTA | OTA | 自社組込 | 自社組込 | |
---|---|---|---|---|
VIATOR | アクティビティジャパン | JTB BOKUN | KKDAY rezio | |
月額利用料 | – | – | 1900円 | 3300円 |
手数料 | 22% | 18%(海外) | 3.5% | 3% |
2. Googleマップとトリップアドバイザーに登録
旅先が決まったお客さまは、旅先で何をしようか、スマホやPCでリサーチを始めます。
そのリサーチ結果に、あなたのツアーがリスティングされないと「知られていないから売れていない」の原則通り、検討の俎上にも上がりません。
ですから、リサーチ結果に乗るように、自分の公式サイトの質を高めSEO対策を施すとともに、GoogleマップやTripAdvisorなどに登録しておきましょう。
どちらも無料のサービスで、次項で説明する口コミを集めるためのプラットフォームにもなるので、登録されることを強くお勧めします。
Googleマップに登録するには、Googleビジネスプロフィールから、必要事項を記入するだけ、ととても簡単です。
観光スポットを探すのに非常に重要になるMEO(Map Engine Optimization)対策にもなるので、登録後もこまめに内容を充実させていくといいでしょう。
世界有数の旅行口コミサイトである、TripAdvisorへの登録はインバウンドのお客さまをターゲットにするのでしたら、必要不可欠です。
TripAdvisorへの登録は「施設を追加」ページから無料で行えます。(リンク先が頻繁に変わるのでご注意ください)
このページにツアー会社を経営していますというリンクもあります。ここから、TripAdvisorグループのOTAであるViatorへの登録も可能です。
3. 口コミを集めよう!
いまや、旅行商品に限らず、すべての商品やサービスにおいて、口コミはお客さまの購買行動を左右する最重要ポイントと言っても過言ではありません。
特に、その商品を手に取って見ることができないツアー商品は口コミがとても大切なのはいうまでもありません。
お客さまをご案内し続けていけば徐々に口コミが増えるのは間違いありませんが、ここはスピードも重視で行き、接客的に口コミを集める行動をしてみましょう。
実際にお客さまと対面するガイドツアーなので、お客さまへのコンタクトポイントはたくさんあります。
- ツアー終了時(あるいは開始時でも)に、ぜひレビューをお願いしますと言いながら口コミサイトのQRコードが入った促進カードをお渡しする。
- ツアー中に撮った写真を添付して、定型文でなくツアー中の出来事なを一言添えた、ありがとうのemailを送る。その時に、口コミサイトへのリンクを貼る。
- 少し大変ですが、デジタルの時代だからこそ、あえて手書きのハガキを送り、口コミサイトへのQRコードを添える。
など、色々な手段があります。
口コミをどこへ書いてもらうかですが、上記で説明した、Googleかトリップアドバイザーのどちらか(あるいは両方)が良いと思います。
トリップアドバイザーは日本ではあまりメジャーではありませんが海外では非常にメジャーな旅行口コミサイトですのである程度の口コミを集めておくと良いと思います。
でも、このところの勢いを考えると、どちらかひとつということであればGoogleをお勧めします。
4.ブログを書こう
世の中にあるWEBサイトの数は数十億、そのページ数は兆単位と言われています。
その天文学的な数字の中、あなたのサイトを見込み客に見つけてもらわなければなりません。
そこでおすすめするのが「ブログ」です。
SNS全盛の時代にブログ? と思われるかも知れませんが、キーワードを選定し、そのキーワードに沿った記事を書くことで、WEB上での検索されやすいページを作ることができます。
また、投稿した情報がどんどん過去のものになり消えていってしまうSNSとは異なり、ブログ記事はいつまでも残るいわば「ストック型」のコンテンツだと言えます。
ですから、適切なキーワードで検索順位が上位になるような記事を書くことができれば、そのブログ記事は自動集客装置として長い間あなたのWEBページにお客さまを誘導してくれます。
ブログを書くにあたり、Ameba、はてな、FC2などたくさんのブログプラットフォームサービスがありますが、下記のような理由から、自社のWEBページの中にブログを持つことをおすすめします。
1) ドメインが自社ドメインになる
2) 広告が入らない
3) デザインの統一性
5.モニターツアーを実施しよう!
「知られていないから売れていない」は、単純にその商品を「知らない」ことのほか「知っているけれどどんなサービスなのか知らない」と言う意味合いもあります。
そのために「3.口コミを集めよう!」のように、口コミを集めて他のお客さまの体験を載せることはとても重要です。
それとともに、ネイチャーツアー・まち歩きツアーの地元の住民の方や関係する方々を招待したモニターツアーを行うことで、その良さを地元の方々や観光関連の方々から伝えていただくことができます。
地元にある〇〇観光協会の職員の方々、宿泊のお客さまをお迎えしているホテルのスタッフやオーナー、旅行雑誌の記者やトラベルライター、友人など切り口は様々です。
また、モニターツアーを行うときは、ツアーの感想をや改善点を必ずご指摘いただくようにします。
実際に体験したツアーのフィードバックがいただけますので、ツアーのコンテンツのブラッシュアップにも役立ちます。
以上、インバウンド客にあなたのネイチャーガイドを見つけていただく5つのチャレンジについて書きましたが、実際、私もこの5項目に沿って知っていただけるためのチャレンジを始めたばかりです。
ぜひご一緒に、地方のガイドツアー市場を盛り上げましょう!
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